第4回定例会 委員会質疑
 
CONTENTS 「多摩地区水道改善基本計画」について

◇2003年12月11日【公営企業委員会】
「多摩地区水道改善基本計画」について


(大津委員)今回、提案された武蔵村山市と多摩市に関する水道事業の事務委託の廃止と下水道使用料徴収事務の受託は、多摩地区水道経営改善基本計画に基づく、最初のケースであると聞いています。この多摩地区水道経営改善は、市や町に事務を委託し、それぞれの市や町が実施している水道業務について、委託をやめ、都が直接、実施することにより、お客さまサービス及び給水安定性の向上、さらには事業運営の効率化を図るというものです。

市や町への事務委託では、市や町の区域を越えた事業運営ができないという制度上の限界があり、市や町の水道事業を都営水道に一元化したにもかかわらず、広域化のメリットが十分に発揮できない状況にあるとのことですから、事務委託を解消し、多摩地区水道の経営改善を推進していく必要性については、理解できます。しかし、これまで30年あまりにわたり続いてきた事務の運営方法を変えるわけですから、様々な課題があると思います。

先の本委員会の質疑の中で、わが党の富田俊正議員が経営改善の基本的な考え方や施策の内容について質問したところですが、今回、2市について事務委託の廃止が具体化したということですから、先の委員会での質疑で明らかになった課題を含め、両市の事務委託解消について、いくつか質問いたします。
 
1. (大津委員)まず、2市の事務委託解消の経過について、お聞きします。
本年6月の基本計画策定に引き続き、はや、来年3月には2市の事務委託を廃止することとなったということです。地理的にいうと、武蔵村山市は、多摩地域の北部に、多摩市は南部に位置しており、特別なつながりがあるとも思えませんが、なぜ、この2市から事務委託の廃止を始めたのか、都として、この2市の事務委託を廃止しなければならない特別の理由があったのか、伺います。


【中村多摩水道改革推進本部調整部長】これまで、市や町と個別に協議を行ってきましたが、両市について、事務委託の廃止に関する条件が整い、早期に協議が成立したことから、今回事務委託の廃止に関する議案の提出となったものです。
多摩市では、都の直営である多摩ニュータウン地域と市が事務委託を受けている地域があり、これを早期に統一したいとの市側の意向があったこと、また、両市とも、水道事務従事職員の人員削減の見通しがついたことなどから、事務委託の廃止について、都及び市の考え方が一致したものです。
今回の二市以外の市や町についても、さらに協議を進め、事務委託の廃止に努めていきたいと考えております。
2. (大津委員)この2市について、早期に協議がまとまったことから、最初に事務委託を廃止することとなったというわけで、事務委託廃止の順序があるというわけではないということになりますね。
先の委員会の質疑の中で、都民サービスのために、多摩地域に12か所程度のお客さま対応窓口を設置するとのご答弁がありました。2市については、事務委託解消により、来年4月から、水道料金の徴収業務を、都が行うこととなり、市はこれらの業務を行わないこととなります。これにより市の徴収関係の窓口もなくなるわけですが、徴収業務は都民と直接、接する業務であり、都として、都民対応のため、このお客さま対応窓口を設置する必要があると思いますが、どうでしょうか。


【中村多摩水道改革推進本部調整部長】
武蔵村山市では、市内に都の窓口がないことから、お客さま対応の窓口を新たに設置する予定となっております。
また、多摩市については、多摩ニュータウン地域にある都の水道事務所において、お客さま対応を行う予定です。
3. (大津委員)都民サービスのための具体的な施策がとられるわけですね。
多摩地区水道経営改善基本計画をみると、民間委託の拡大を図るという記述があり、本委員会の質疑の中でも、積極的に委託を拡大するとして、民間委託を幅広く検討していくとのご答弁がありました。効率的な事務事業の実施は、行政運営の基本であり、重要なことと思いますが、水道の窓口には、都民から様々な相談なども寄せられることから、責任をもった対応ができなければなりません。都民サービスをきちんと確保した上で、民間委託をすることが求められるわけですが、2市の事務委託解消による民間委託拡大はどのようになっているのでしょうか。


【中村多摩水道改革推進本部調整部長】経営改善の実施に当たっては、民間の知識や経験を生かし、効率的に業務を執行するため、民間委託を積極的に活用していくこととしております。
武蔵村山市に新たに設置するお客さま対応窓口についても、この方針に従い、民間委託していく予定となっております。
民間委託に当たっては、事務処理の方法等を受託者に示し、受託者に対する指導・監督を適切に行うとともに、事案決定業務や高度な苦情対応等については、行政として対応すべき事項については、当局で対応し、適切なお客さまサービスに万全を期してまいります。
4. (大津委員)民間委託そのものについて、民間のよい面を取り入れ、効率化を図るというメリットもあるので、大切なことであると思いますが、それにより都民サービスが低下するということがないよう、都がしっかりと対応してもらいたいと思います。
次に、事務委託廃止に当たっての2市の特別な事情等について伺いたいと思います。事務委託を廃止することは、市側にとっても、市で水道事業に従事していた職員の処遇問題など、たいへん大きな事柄であると思います。先の委員会において、わが党の質問に対し、都として事務委託の廃止に当たっては、市や町の意向を踏まえて十分に協議していきたいとの答弁がありましたが、この2市の事務委託廃止にあたって、都として、配慮を行っているのか、なにかありましたらお答えください。


【中村多摩水道改革推進本部調整部長】事務委託の廃止に当たっては、市や町に委託している業務を円滑に都に移行することとあわせて、水道事業に従事している市町職員の減員などに配慮する必要があることから、都と市の事務処理権限を明確に区分しながら、段階的に業務移行することとしております。
今回、事務委託を廃止する二市についても、このような方針に基づき、市と協議した結果、市の意向を受け、事務委託廃止後も一定の期間に限り、一部の業務を市が行うという経過措置を設けることとしております。
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