第1回定例会 視察

(1)Kインターナショナルスクール東京【2004年2月25日】

都議会民主党一期生の会「十六夜会」で江東区東砂にある「Kインターナショナルスクール東京」を視察しました。アメリカ、イギリス、インド、オーストラリアなど40カ国の国籍を持つ生徒が通うこの学校では、全て英語で授業が行われています。そしてカリュキュラムは、スイス民法典に基づき、ジュネーブに設置されている国際教育の推進を目的とする非営利教育団体IBOの枠組みに基づき進められています。このプログラムは、知識のみに偏ることなく調和のとれた人間性を目指す全人教育で、学習面の成長に加え、子どもたちの精神面に影響を及ぼす社会的、身体的、情緒的そして文化的な必要性に焦点を当てています。その基本は、問いかけであり、生徒達が自ら責任を持って学習に取り組む姿勢を身に着けることができるとのことです。確かに、子どもたちは明るく大らかに、のびのびと学習している様子が窺えました。
http://www.kist.ed.jp/
(2)代表質問
3月2日には、都議会本会議で「代表質問」が行われ名取幹事長が都議会民主党を代表して、(1)平成16年度予算案について、(2)中小企業への金融支援について、(3)産業振興について、(4)労働行政について、(5)環境政策について、(6)住宅政策について、(7)福祉改革推進について、(8)特別支援教育について、(9)青少年問題について、(10)治安対策及び総合危機管理についての10課題、41項目に渡って質疑を展開しました。
その中で、新銀行について設立意義、中小企業に対する役割、地域金融機関との連携、都との関係について質し、議論の正常化の一歩を踏み出しました。また、支援費制度の下で昨年実施されたホームヘルプについて国の負担分である1/2を下回る補助金額を提示したことに対する見解について石原知事は「正に現場を持たない紙の上での数字合わせであり、国の財政破綻のツケを自治体と国民に押し付けることは許されない」と怒りを示しました。
(3)一般質問
3月3日、4日には、一般質問が行われ、大津も一般質問に立たせていただきました。なお、都議会民主党から大津を含め4都議が質疑に立ちました。選挙を支援していただいた方々をはじめ多くの皆さんが傍聴に来てくれました。感謝です。
相川博都議(八王子)の「空・山・川・街の切口からセキュリティからアメニティへの視点での防災都市計画樹立の提言」は、石原知事をも唸らせるものでした。相川都議の質問は、「基本計画は防災機能の視点に偏り、アメニティの視点に欠けている。非常時の空域活用のルールづくりや建設残土を活用した眺望公園、河川網の整備など、都市の景観、眺望、緑地などの視点も考慮した都市計画を提案する」と言うもので、知事は「同感だ。戦後の無計画な復興が残念な結果をもたらしたが、これから施策を講じる際には複合的・重層的な分析を重ね方向性を定めるべきだ。提案を参考にしながら、できる限り東京の魅力向上に努める。」と積極的に評価する姿勢を示しました。

大津ひろ子は、(1)治安対策について、(2)DV防止法改正に関する東京都の取り組みについて、(3)千客万来の世界都市・東京について、(4)ものづくり人材の育成についての4課題を取り上げ、知事、警視総監及び関係局長に質しました。

その中で、「DV法改正に関する東京都の取り組み」について、知事からDV被害者を犯罪被害者との関連で捉えた答弁が出されたことは、この課題の前進です。また、電話ボックスなどに氾濫するピンクビラをなくすため、富田俊正都議(新宿区)が提案した「公共物への広告を活用」したらどうかとの提案に、そのことも視野に入れて検討を進めているとの考え方が示されました。

翌日の新聞報道できは、「千客万来の世界都市・東京について」の中で取り上げた「東京国際映画祭」に関して、『東京国際映画祭開催地に渋谷とはミスマッチ』と、知事の答弁を受け取り上げられました。知事の指摘は開催地の熱意が欠けるとのものですが、私は、決してそうは思ってはいません。

柿沢未途都議(江東区)が取り上げた「緑内障早期発見に資する検査体制の充実」を求めたことに対し、健康局長、病院経営本部長からの前向きな答弁を引き出したことは評価されるものです。今後更に、追い続け課題の解決に向け会派として努力していきたいと思います。この「緑内障」の課題は、他に生命保険に加入しづらいことや、柿沢都議も質問の中で触れた、運転免許の課題などがあります。

山下太郎都議(北多摩第4)は、昨年起きた、韓国の地下鉄火災事故やオウムサリン事件を引き合いに出しながら、地下鉄の安全対策について質しました。

一般質問に立った都議は、2日間で25名にも上りましたが、今定例会の争点である新銀行に触れた質問は“0”。青少年健全育成条例も“0”。食品安全条例と港湾条例は“1”となっています。一般質問自体、議員個人が取り組んでいる課題や、地域の課題が中心となることから止むを得ないものですが、これから始まる予算特別委員会に比重がかかります。
一般質問終了後、設置が確認された「予算特別委員会」が本会議終了後に招集されました。
(4)中途議決
3月11日に、本会議が招集され、補正予算・組織条例一部改正条例などの先決が必要な議案を議決しました。議案に対する会派の姿勢を示す「討論」については都議会民主党を代表して樋口裕子副幹事長(中野区)が行いました。

討論では、第31号議案「東京都組織条例の一部を改正する条例」については、都議会民主党が予てから主張してきた効率的・効果的な執行体制の整備であるとして賛意を示しました。その中で、福祉保健局については、行政サービスの対象に対するアプローチの仕方が異なる部門が統合されることから、困難さがあると認識するものの行政サービスを受ける都民の立場に立った対応を求めました。また、第154号議案「平成15年度東京都一般会計補正予算(第五号)」については、東京の社会資本の整備に必要な事業量を確保するとともに、年度初めの端境期における事業執行の平準化を図ったものとして評価し、将来の財政運営に配慮した財政調整基金への積立を考慮し止むを得ないものとの考え方を示すなど、全ての議案に賛成するとの姿勢を示しました。

なお、「社会福祉施設等の整備費の国庫補助(負担)に係る協議基準等に関する意見書」が全議員による議員提出議案として出され即決されました。この課題は、先の本会議で多くの会派が取り上げた特養などの社会福祉施設整備費の国庫補助が一方的に削減されていることに抗議するものです。
(5)予算特別委員会
39名の委員による予算特別委員会は、会派代表による総括質疑を3月12日に、その後、15日、16日と一般総括質疑、そして、25日に会派代表による締め括り総括質疑が行われ、26日に付託議案の採決が行われました。
●「予算特別委員会〈会派代表総括質疑〉」
都議会民主党は青木英二政調会長より「新銀行」について、中小企業のメ光モとなることの確認と、一定の時期を見て見直しを行うことを確認しました。また、「食品安全条例」については、都・都民及び事業者のパートナーシップの確立、リスクコミュニケーションの充実などについて踏み込んだ質疑を展開しました。

●「予算特別委員会〈総括質疑〉」
1日目は、10人の都議が質疑に立ち、午後9時過ぎまで、行われました。
都議会民主党は、樋口裕子都議(中野区)が、保育、障がい者福祉施設の運営、私学の役割、人工降雨、臨海副都心開発などについて、初鹿明博都議(江戸川区)が、今議会に条例提案されている青少年の健全育成や、引きこもり対策などについて取り上げました。
2日目は、9人の都議が質疑に立ち、昨日より少し早まりましたが午後8時半過ぎまで、行われました。
都議会民主党は、土屋隆之都議(板橋区)が、「教育行政」について、花輪智史都議(世田谷区)が、「行政改革」についての一点に絞り込んでの質疑を行いました。

●「予算特別委員会〈締め括り総括質疑〉」
締め括り総括質疑には、都議会民主党を代表して富田俊正都議(新宿区)が質問に立ち「新銀行」について、小企業への融資実績を中間決算、決算期等に公表し総合的に検証することなどを確認しました。また、「都響」については、経営改善の視点から楽員のみなさんの提案を示し、行政改革を担当する総務局から前向きな答弁がありました。更に、表参道同潤会アパート再開発工事の仮囲いについて、地元の視点での質疑を行いました。

●「予算特別委員会〈討論・採決〉」
都議会民主党は、都議会自民党・都議会公明党とともに、第1号議案(新年度予算)について「新銀行」「都響」に関する付帯決議案を提出しました。
採決については、共産党が新年度予算他15議案に反対、生活者ネットが「臨海地域開発事業会計予算」に反対しましたが、知事提出の全議案が採択されました。
なお、討論には相川博都議(八王子)が行い「新銀行」については、「中小企業に対する資金供給、地域金融機関との緊密な連携、適切な監視を求める付帯決議を付すとともに、「官」としての信用力や影響力を背景とせず、公平な競争を行うものとすること、再出資は行わないこと、節目毎に経営計画を検証すること」を改めて求めました。
(6)議案への対応
3月30日に最終日を迎え、都議会民主党は知事提案の議案のうち、第1号議案「平成16年度東京都一般会計予算」に付帯決議を付し、その他の知事提出の全議案に賛成し採択されました。

議案採決に先立って中村明彦総務会長(台東区)が討論に立ち、「平成16年度東京都一般会計予算は、景気の穏やかな回復が見られる中での編成となりしたが、前年度比0.4パーセント減の5兆7080億円、一般歳出で前年度比1.2パーセント減の4兆2,214億円となっています。これは、この間の景気回復傾向により、都税収入の約4割を占める法人2税に1,161億円の増収が見込まれる一方で、銀行税の税率引き下げで昨年度比760億円、税制改正で同345億円のマイナス要因が働き、結果として56億円しか増収が見込めないためです。こうした厳しい財政状況にあっても、本予算では、治安の回復、福祉・医療の充実、中小企業・雇用対策、都市と環境の再生などの、緊急かつ重要な課題に施策を厳選して重点的に予算を配分しており、財政状況を勘案するならば、評価できるものとなっています。

しかし、各自治体がこうした厳しい予算編成を余儀なくされている中にあって、国の怠慢は許されざるものです。小泉内閣の三位一体改革も、自治体には裁量の余地のない国庫負担金を削減し、財源措置は国が配分権を持つ移転財源で賄うとあっては、中央省庁の官僚の言うがままであります。しかし、現場を無視した、戦略なき場当たり的補助金削減が横行しており、自治体への悪影響は看過できないものとなっています。国を変えなければ自治体も活きない、このことを肝に銘じなければなりません。」と都政を取り巻く情勢を整理し、「新銀行」、「青少年健全育成条例」、「食品安全条例」、「労政事務所設置条例」などについて、会派の姿勢を表明しました。
 

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