談話室

平成29年4月14日(金)「寅さ~ん」「何だい?リリー」

映画「男はつらいよ」での、さすらいの歌手役のマドンナ、浅丘ルリ子さんとフーテンの寅の渥美清さんとの、心が通いあう、何とも印象的な場面でのセリフです。このシリーズは全部で49作発表されていますが、いまでも多くの方に愛され、鑑賞されている国民的な映画です。特に映画と同時代に生きてこられた方にとっては格別の思いがあるようです。

北海道から沖縄まで、日本の都市や農村の原風景が映し出されるとともに、時にはふるさとの祭りを通して、時代そのものの空気まで感じ取れます。高度経済成長期の集団就職で親元を離れ都会に向かう少年や、阪神淡路の大震災直後から復興に立ち上がる姿まで、折りに触れて日本人の人情と心の機微が描かれています。笑いの中にも、ひたむきに生きる人々の日常の姿は、古いと言われても、どこか魂を揺さぶるものがあります。そうした、人への思いやり、温かみのある触れあいは、いつまでも大切にしたいと思います。