談話室

山崩れにより阿蘇大橋が崩落

熊本で震災に遭った当時高校1年Wさんが、大学1年となり大津事務所に研修に来てくれました。

令和3年3月13日(土) 熊本地震 震度7が前震、本震と2度発生 お風呂の水が役に立ちました

2016年4月14日 日本大学 W・Cさん

前震のあった2016年4月14日、高1の私は、まだ慣れない高校生活に不安はありつつ、ワクワクした気持ちで明日の準備をし、テレビを見ながらくつろいでいた。 すると突然、床を誰かが叩いたような音がし、その数秒後、今まで経験したことのない揺れが起こった。一瞬、何が起こったか分からず、テレビも大きく揺れ、電気も今まで見たことのないくらい大きく振り子のように揺れていた。
揺れがおさまった後も揺れているような感覚に陥った。テレビを確認すると、ニュース速報が流れ、全ての番組は中断されており、ヘルメットを着用したアナウンサーが状況を伝えていた。幸いなことに、家族はもちろん、食器類や家具が倒れることはなく、家にも被害はなかった。
 その日以降、小さな揺れが一日に10回以上起こり、常に揺れている感覚に襲われ地震なのかもわからなくなっていた。また、「音」にとても敏感になり、道路を走るトラックの音にさえ、地鳴りなのではないか、ととても不安になった。私が通っていた高校は熊本市内にあったため、被害が大きくいつ学校に登校できるかもわからない状態だった。毎日不安な日々を過ごした。
 そして前震の二日後の深夜、私は自分の部屋で就寝していた。すると突然大きな揺れが起こった。揺れに驚き目を覚ますと、横にあった手すりを掴んでしまうほど大きな揺れで、停電した。すぐに飛び起き、母の部屋に向かい話をしていると、リビングにいた父が「津波警報出てる!」と叫んだ。その瞬間、テレビで見た東日本大震災の津波の映像が脳裏に浮かび、家から約3キロの距離に海があり、海から家までの距離が比較的近いため、「あー死ぬんだな」と思った。幸い、津波は起こらず、本震でも何も被害はなく無事に生きている。
 この地震から学んだことがある。Twitterなどでデマ情報が流れており、今冷静に考えればあり得ないことも、当時は不安から冷静さを失い、ちょっとしたことも信じてしまっていた。このような状況下でもデマに流されない「メディア・リテラシー」(メディアからの情報を見極める能力)が必要だと思った。
 また、本震では停電が起こり、電気も水も使えない状況になったが、幸い、すぐに復旧した。我が家では、お風呂の水をもしもの場合に備えていたため、その数十分耐えることができた。このことから、「備えあれば憂いなし」ということわざのように、つねにもしもに備え、防災グッズを用意したりすることが、生死にかかわるのではと感じた。